ライター/フードクリエイター:ビバコ
女の子の健やかな成長を願う3月3日のひな祭り。お雛様がまぶしい春を告げるかのように、草木も芽吹き日差しも眩しくなりつつある時期ですね。
ちょうど桃の花が咲く季節なので、「桃の節句」とも呼ばれています。
ひな祭りの食卓に並ぶ定番というと、ひなあられ、菱もち、そして定番の「ちらし寿司」、見た目もカラフルでお花畑の様に平たく具材が散らされていて春らしい料理ですね。
日本人にとってお祝いというとお寿司は定番、でも私は北米カナダの小さな街に住んでおりまして、悲しいかな普通のスーパーの野菜売り場では、日本のように四季折々の季節感溢れる食材が頻繁に入れ替わる地域ではありません。
さらに生ものを食べない文化の国、生食できるシーフードは私の近隣のスーパーには売られていないのです。
お寿司というと生ものを使いたいところなのですが、今回は海外のスーパーで買える一般的な食材でちらし寿司、そして「生ものなし」で工夫して作ってみました。
レシピと作り方、具材にかかった材料費もまとめていいますので、日本の食材が身近に売っていない在外邦人の方も作りやすいと思いますので、是非作ってみてくださいね。
目次
ひな祭りの時にちらし寿司を食べる由来
ひな祭りというとちらし寿司を食べるのが定番ではありますが、実は明確な由来はないそうです。
さまざまな説があるのですが、元をたどると平安時代に食べられていた「 なれ寿司」が始まりという一説があります。
鯖寿司
なれ寿司は魚の中にお米を詰めて発酵させたお寿司で、3月3日頃が食べごろだったとのこと。ひな祭りをはじめお祝いの席でふるまわれていたそうです。また、なれ寿司の一種には鯖寿司や滋賀県の郷土料理である鮒ずしもあります。
それが江戸時代になると「 ばら寿司」へと移り変わっていったと伝えられています。
ばらちらし寿司
ばら寿司は酢飯に様々な具材を混ぜ合わせたもので、現在のちらし寿司の原型とも言われており、だんだん具を上に乗せる形となり見た目が華やかになって「 ちらし寿司」となったようです。
また、ちらし寿司には、縁起を担いで長寿の願いを込めた「エビ」や、将来の見通しがよい「れんこん」、元気・丈夫・健康などという意味がある「まめ」などが良く使われています。
お子様の健やかな成長と豊かな将来を願うひな祭りに、ちらし寿司はぴったりな料理ですね。
海外のスーパーで買える食材でもちらし寿司って作れるの?
▽海外のスーパーで見つけたちらし寿司の具材
今回、生ものなしのちらし寿司を作るにあたって、このような具材をスーパーで揃えました。
- シュガースナップ(さやいんげんや豆の代わり)
- ラディッシュ(彩り用)
- じゃがいも(れんこんの代わり)
- 卵
- キュウリ
- 冷凍エビ一袋
どれも海外の野菜売り場では定番の食材ではないでしょうか。
▽和の食材の代用は?
れんこんや干椎茸など和の食材って入手しにい地域もあるかと思いますが、これらの野菜でこのようにすれば簡単に代用できます。
- れんこんはジャガイモにストローで穴を空け代用。
- 豆はシュガースナップの中身の豆を代用し鞘は彩として使う。
- 干椎茸のかわりに、エビのウマミを利用する。
- 生ものの代わりに茹でたエビを使う。
- 干椎茸のかわりにエビのウマミを利用し、小さくきざんで酢飯に混ぜ込み味に深みを加えます。
こちらが具材を購入したときのレシートです。日本円で3000円位でしょうか。
全部は使いきれないので、ちらし寿司一回分に換算しますと今回の3人分の具材代は、大体1000円分となるかと思います。
生ものなしのちらし寿司の材料
▽材料 3人分
A. ラディッシュの酢漬け
- ラディッシュ・・・5個ほど
- 酢・・・大さじ4
- 砂糖・・・大さじ1と/1/2
- 塩・・・ひとつまみ
B. 酢飯
- 米・・・2カップ
-----合わせ酢-----
- ♡ 米酢(ホワイトリカーでもOK)・・・75CC
- ♡ 砂糖・・・大さじ3
- ♡ 塩・・・小さじ1.5
C. 酢飯に混ぜ込む具と煮汁
- ★ エビ・・・4匹ほど(お好みの量でOKです。エビが多いほど美味しいです。)
- ★ 人参・・・1/2本
-----煮汁-----
- ☆ 水・・・100cc
- ☆ 醤油・・・大さじ1.5
- ☆ 砂糖・・・大さじ1.5
- ☆ 酒(あれば)・・・大さじ1.5
D. 酢飯の上に乗せる飾りの具材
- 卵・・・4個
- 水・・・大さじ1
- エビ・・・6匹(お好みの量で。多いほど華やかになります。)
- スナップエンドウ・・・10本
- キュウリ・・・1/2本
- ジャガイモ・・・1個
- ラディッシュ・・・5個
生ものなしのちらし寿司の作り方
▽大まかな手順
- ラディッシュの酢漬けを作ります。(前日)
- 酢飯に混ぜる具材の準備をします。
- 酢飯を作ります。
- 酢飯の上に載せる飾りの具材を準備します。
- 盛り付けます。
▽レシピ
1.ラディッシュの酢漬けを作る。(前日)
※材料はA.の材料を参照。
※ 前日に準備します。
- ①酢、砂糖、塩を混ぜ合わせておきます。
- ②ラディッシュを薄切りにします。
- ③全て混ぜ合わせ保存容器に入れて冷蔵庫で一晩漬けます。
前日に用意するのは、ラディッシュの中身が全部ピンクの色素で染まるのに約一日程かかるからです。
飾りにピンク色が加わると、桃の節句らしくなりますよね。野菜の天然色素のピンクは安心安全でもあります。
2.酢飯に混ぜる具材の準備をします。
※材料はC.の材料を参照。
- ①エビの背ワタをとり、殻をむき、一センチ位に切ります。
- ②人参を細かく細切りにします。
- ③鍋に☆の調味料をすべて入れ、カットしたエビと人参を入れて10分ほど煮ます。煮終えたら、冷ましておき、具材に味をよくなじませます。
- ④酢飯に混ぜるのは具材だけなので、具材と煮汁を分けます。あまった汁はとっておきましょう。仕上げの飾りつけの時にエビに煮汁を少しかけると艶も出て美味しいです。
3.酢飯を作ります。
※材料はB.の材料を参照。
- ①合わせ酢を作っておきます。♡の材料を耐熱用グラスに入れ、レンジで20秒温め砂糖を溶かします。
- ②2カップの米に対し、2カップの水の割合でお米を炊きます。
ご飯が炊きあがったら熱いうちに♡の合わせ酢と、Cの具材(煮汁は入れず、具だけを使用)を混ぜます。
この時にしゃもじで酢飯を切る様にまんべんなく混ぜます。あおぎながら混ぜるとご飯がパラリと仕上がりますが、こちらはお好みで大丈夫です。
酢飯が出来上がったら上に濡れふきんをかけて、表面が乾燥しないうようにして置いておきます。
4.酢飯の上に乗せる飾りの具材を準備します。
※材料はD.の材料参照
※手順の様子は上記写真を参照
- ①錦糸卵を作ります。ボウルに卵を割り入れ、水大さじ1を加え、白身と黄身をよく混ぜ、フライパンで薄焼き卵を何枚か作ります。薄焼き卵を重ねて丸め細く切ります。
- ②エビを茹でます。エビは殻付きのまま、沸騰したお湯に入れ、3分ほど煮て取り出します。冷めたら殻をむきます。
- ③スナップエンドウを茹でます。沸騰したお湯に塩を一つまみいれたら一分ほど茹で、茹で上がったら氷水にさっとくぐらせて入れ、色止めしたらキッチンタオルで水分をとっておきます。
- ④ジャガイモの周りに包丁で切り込みを入れて花形にします。
- ⑤ジャガイモにストローで穴を空けてれんこんに見立てます。5ミリほどにスライスしたジャガイモ穴を何か所か開けたらフライパンで軽くソテーし塩を軽くふっておきます。
- ⑥茹でたスナップエンドウの中の豆を取り出し、皮を2つに切ります。
5.盛り付けましょう。
まず酢飯を平たく盛り、その上に錦糸卵をまんべんなく広げて、その上に飾り用の具材を上に乗せていきます。
乗せ方に決まりはないので自由に楽しみながら飾りましょう。
最後にラディッシュの酢漬けを乗せましょう。野菜用の型抜きを使うと見た目がより華やかになりますよ。
生ものなしのちらし寿司の完成🎊
完成です!今回は、縁起を担いで長寿の願いを込めた「エビ」や、将来の見通しがよい「れんこん」のかわりにジャガイモに穴を空け、まめの代わりにシュガースナップを使いました。
今回は3人分ですが、作ってみると意外と簡単な割にカラフルで見栄えが良いのでたくさん作って大勢で囲んでのちらし寿司パーティにもぴったりです。
「日本のちらし寿司って、美味しくてハッピーになれるのよ」って話で盛り上がるのではないでしょうか。
▽お弁当にもいかが?
ちらし寿司は、酢飯のお酢の効果で夏場でも傷みにくいですし、冷めても美味しく、生ものを一切使っていないのでお弁当にもぴったりです。
今回は曲げわっぱに入れてみました。曲げわっぱとちらし寿司、やっぱり、和の文化って良いですね!
まとめ
- ひな祭りの食卓に並ぶ定番「ちらし寿司」は平安時代のなれ寿司が始まりという一説があります。
- 縁起のよい食材を使うのがお祝い料理ならでは。
- 和の食材の少ない海外のスーパーの野菜でも簡単な工夫でちらし寿司が作れます。
- 干椎茸のかわりにエビのウマミを利用して酢飯を作ってみましょう。
- 椎茸嫌いな方や、生ものがご法度な国の方にもおすすめレシピです。
- ベジタリアンの方は、最近スーパーなどで販売されている植物を原料としたエビの代用品で代わりに使用できます。
- 酢飯は酢の効果で傷みにくいので、ちらし寿司はお弁当にもぴったり。
いつの時代も子供の健やかな成長を願う親心は永遠に、日本の文化の中や、家族の中に代々受け継がれています。
ちらし寿司の数だけ、幸せを願う親から子への愛情があるのかもしれません。
美味しい笑顔が広がる素敵なひな祭りをお過ごしくださいね。
ライター/フードクリエイター:
ビバコ カナダ在住
海外にいても「ほっとする和食のある暮らし」をテーマに、身の回りにある身近な食材を使った創作和食の家庭料理や、日本人でも食べやすいカナダ&北米料理を発信しています。
趣味は大葉や桜など和の植物を育てること、そして日々のお弁当作りです。
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