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1. キングセイコー（KS）シリーズの全体位置づけキングセイコー（King Seiko、略称 KS）は、セイコーが“グランドセイコー (GS)”に次ぐ高級ラインとして、実用的な高精度腕時計を目指して1960年代に展開したシリーズです。
初期は手巻きモデルが主流でしたが、自動巻きやハイビート（高振動）化も一部で導入されていきます。
KS と GS は時に相互に影響を受けながら、セイコー社内の精度・設計競争や技術発展を促す役割を担っていました。特に KS は比較的低価格（GS より抑えた価格帯）ながら、高品質を目指すポジションとして認識されていました。
KS の生産期間はおおよそ 1961年 ～ 1975年。ただし、後年に復刻モデルも出ています。
2. 56KS 系列とハイビート化「56KS（56 系列キングセイコー）」とは、諏訪精工舎（Suwa Seikosha。セイコー系列の工場の一つ）で製造された KS のうち、キャリバー 56xx 系列を用いたモデル群を指します。
56KS は概ね 1968年から 1975年頃まで生産されていたとされます。
“ハイビート”仕様とは、通常の機械式時計より振動数を増やすことで精度を向上させようという設計で、典型的には 28,800 振動／時（vph）やそれ以上（36,000 vph など）が使われます。セイコー KS のハイビート化モデルは、その挑戦の一環と考えられます。
56KS 系列モデルには様々なリファレンス（型番）があり、ケース形状や文字盤デザインも多様です。
3. 5625-7000 モデルの特徴と展開「5625-7000」は 56KS 系列に属するハイビート仕様をもつモデルの一つとされます。以下、主な特徴・歴史的観察です。
項目 内容キャリバー Cal. 5625A（自動巻き、ハイビート対応）であることが複数資料で言及されています。
振動数 資料によっては “ハイビート” の文言のみで具体数の記載がない場合もあります。一般的な KS ハイビート仕様では 28,800 vph などが使われた例もあります。
ケース・構造 モノブロック（一体構造）ケースを採用したモデルで、ベゼルおよび風防を外して内部にアクセスする方式とするタイプがあるという記述があります。
また、緩急調整ネジをケース側面に設ける造りも言及されています。デザイン 44GS 系（グランドセイコーのスタイル）から影響を受けた “セイコースタイル” ケースを踏襲しているとする見方もあります。
生産年代 複数資料が “1969年～1971年頃” を製造時期として挙げています。
また、1969年12月の “Blocky” 仕様と呼ばれる初期型が知られており、比較的短期間でマーカー形状などが変更された点も記録にあります。
通称・ファン呼称 一部愛好家の間では、初期の厚めバーインデックス仕様を “Blocky”（角張った印象の意）と呼ぶことがあります。
Fratello Watches の記事では、「ハイビート＝28,800 vph」としつつも、手巻き版の KS ハイビートには 36,000 vph 仕様もあった、という記述があります。
WatchWiki 系列サイトでは、56KS 系列がスワ（Suwa）工場で手がけられ、1968年から 1975年にかけて製造されたという記載があります。
一部オークション・取扱店の説明では、5625-7000 は「セイコースタイルケースを受け継いでいる」「ワンピース構造で頑丈」といった表現が見られます。
4. 終息と後継・復刻の流れKS（キングセイコー）シリーズは、1975年をもって一旦製造が終了したとされるのが一般的な見解です。
KS 終了後、セイコーにおける高級機・高精度機は GS（グランドセイコー）側へ集約されていく方向性が強まりました。
近年、限定復刻モデルやファン向け再展開もあり、KS ブランド（またはその名を冠したモデル）が再評価されつつあります。
当時の KS／GS 間の競争（たとえば Daini 工場 vs Suwa 工場の技術競争）が、設計・性能向上を促す原動力の一つだった、という見方もあります