【内容紹介】
中学1年、広島で被爆。8月6日は体調がすぐれず建物疎開作業を休み、千田町の学校に登校して被爆。爆心地から600ｍの中島新町で建物疎開作業に従事していた同級生は全員が亡くなり、自らも重症を負い、収容所を転々としながら伯母宅に帰りついた。
著者は出張先のポーランドで観た「アウシュビッツの絵」に言語を超える力を感じて絵筆を持った。けれども被爆当時の生き地獄（色、音、声、匂い）を思いだし、亡き級友の顔が浮かんでくる。描きながらゾクゾクと寒気がして暫く筆を置き、また気を取り直して描く、それを繰り返した。
被爆から77年。生かされた自分と、失われた平和。著者は8月6日をどう生き延びたのか。あの日を中学生の視点のままに描く。素朴で優しさに包まれた絵は、読者の心に「大切なもの」を問いかける。
【著者について】
1931年　大阪市出身
1935年　広島市に転居
1945年　広島県立広島工業学校1年入学。被爆。
苦しい家計のなか、奨学金を得て卒業。
1951年　三菱レイヨン(現：三菱ケミカル)に就職。
設計業務、発電所業務に従事、結婚。
35年の会社生活の中でポーランドへの長期出張を3度経験。そこで「アウシュビッツの絵」に出会う。自らも急性膵炎、肝障害、胆嚢炎…手術と入退院を繰り返しながらも2人の息子とそれぞれの妻、そして５人の孫に恵まれた。
ポーランドの第3の都市ウッヂで知り合った家族とは今も文通を続けており、国際社会に向けて「ヒロシマ」を発信し続けている。