（まえがきより）　 　少年は10歳の頃，父親から小さなカメラを買ってもらいました。今のようにスマートフォンでいくらでも写真を残せる時代ではありません。その分、1枚1枚の写真には、折々の記憶が強く結びついています。カメラを与え旅行に連れて行ってくれた父母への感謝の念。旅先で列車を乗り間違えて焦った思い出。入学試験や恋のドキドキした感覚と、そんな時にもカメラを持ち歩いていた大胆さ。中学校の卒業が近づいた頃には父親の一眼レフカメラを持ち出すようになりました。少年の喜怒哀楽のそばには、いつもカメラがありました。
　少年が10歳から15歳までの5年間に写した写真はおよそ500枚。その中から鉄道を題材とした50枚を選んだのがこの本です。当時沿線に住んでいた国鉄呉線をはじめとする広島の鉄道、路面電車、そして長期休みに出かけた東京や関西の写真です。少年の会心作、逆に明らかに失敗作と思っていた写真も含めてあります。各写真タイトル横の数字をクリックすると、解説文を読むことができます。巻末には、失敗写真の修整作例も付けました。
　広島で育った少年が10代前半に写した鉄道風景をご覧ください。