三峰園窯(Sanpoen kiln)の黄瀬戸湯呑(Yellow Seto tea cup)です。
黄瀬戸(Yellow Seto)は16世紀に始まった釉薬で、鉄分が少ない鉄釉の一種です。褐色を帯びた黄色に、緑色の模様が特徴です。茶器に良く使われる技法です。
三峰園窯(Sanpoen kiln)は、6代続く陶器の窯元です。元々は、主に抹茶碗などの茶器を作っていました。現当主の加藤達伸さんは、「料理したくなる器」をコンセプトに、食べものを引き立てる食器を作っています。
加藤さんの器は、１つずつ、轆轤で成型し、手作りされています。器はどれも、姿勢が良いです。底は美しく、無駄のない形状、引き算の美学を感じる器たち。
加藤さんの器の印象は、現代的です。話を聞いてみると、加藤さんはデンマークの磁器が好きなのだとか。現代的な感覚でとらえ直した、黄瀬戸(yellow Seto)の湯呑(tea cup)です。
窯元：　三峰園窯(Sanpoen kiln)　(愛知)
成形：　轆轤成形
種類：　　陶器
サイズ：　口径約6.5cm、底直径約5cm、高さ約6cm
容量：　　満水140ml　実用80ml
重さ：　　約90g
梱包：　　紙箱
備考：　手作りなので、一点ごとにわずかに違いがあります。
器表面のひびは、「貫入(Kannyu)」と呼ばれる技法です。使い続けるうちに、お茶の成分が染み込み、模様が濃くなります。貫入(Kannyu)は、器の強度には影響しません。
愛知県の瀬戸地方は、耐火度の高い良質の白色粘土があるため、陶器作りに最適の土地です。瀬戸焼の起源は、瀬戸市の周辺で5世紀前半から須恵器を生産した、猿投窯(Sanage kiln)にあります。
猿投窯(Sanage kiln)では9世紀前半に、植物の灰で作った釉薬を掛けた、灰釉陶器の生産が始まり、10世紀後半に瀬戸窯が誕生します。
13世紀末に鉄釉が開発され、日本で唯一の施釉陶器の生産地として発展しました。当時、瀬戸の陶器は日本全国へ流通しました。
16世紀後半、陶器の主要な生産地が、瀬戸から美濃へ移りますが、17世紀に江戸幕府が陶工たちを瀬戸へ呼び戻しました。この時、陶工が移り住んだ赤津地区では、主に茶器を生産しました。現在、この地区で生産される陶器は、赤津焼と呼ばれます。
赤津焼の伝統的な釉薬は、灰釉、鉄釉、古瀬戸、黄瀬戸(yellow Seto)、志野、御深井(おふけ)、織部の7種です。