川端康成の自伝的小説「少年」には後日談があった━━！？
亡くなった祖父は、旧制中学生時代、のちに日本で最も有名になる作家と同級生だった。
その祖父の手記が発見された。手記の中には、中学卒業の数十年後、作家と再会した折に聞いた話が書きのこされていた……。
聞き書きの中で、作家は旧友に、「少年」の後に起きたことを語ってゆく。大正十三年、二十五歳になった作家は、かつて恋仲だった下級生の少年、清野と東京で再会した……。
ふたりの間はどうなったか、清野はその後どうなったのか？ 作家の口から明かされる。
大正の旧制中学時代から、数十年後時点の現在まで、中学の寄宿舎での実話も盛り込みながらストーリーは展開する。「少年」では清野のもとに届かなかった、31枚の手紙の内容も再現される。
清野と作家をめぐる、「少年」のあとに続くもう一つの物語。
川端康成の学生時代の日記に記されたエピソードを豊富に織り込み、川端の幾つもの小説のディテールをちりばめて綴る。
小説「少年」が、川端康成自身ののちの作品にどのような作用を及ぼしたかについても示唆を試みた、「少年」その他川端文学のオマージュ。