太陽系の外に広がる広大な宇宙の謎を探る旅へようこそ
星団・星雲、銀河、ブラックホール、そして宇宙の果てへ。
旅の主役は500枚以上におよぶ圧倒的に美しい写真と想像図。
新発見の太陽系外惑星から膨張宇宙、星団や銀河が作る大規模構造、
星の形成、恒星での元素合成、惑星や生命の起源まで最先端の情報が満載。
地上の大型天体望遠鏡や宇宙望遠鏡の発展によって
「ヴィジュアルサイエンス」へと進化した深宇宙天文学の集大成。
◎「はじめに」より
NASAの宇宙探査機ボイジャー2号はいま、故郷から160億キロメートル弱の場所を飛んでいます。1977年に打ち上げられたこの無人探査機は1979年に木星に最接近し、1981年に土星の脇を通って、1986年には天王星、1989年には海王星に出会いました。現在は太陽系の端へ、そしてその先の星間空間へと向かっています。けれども、時速5万5000キロメートル以上というボイジャー2号の巡航速度をもってしても、太陽以外の恒星に近づくまでには何万年もかかります。
宇宙は広大です。想像を絶するほど広大です。太陽系には驚くほど多様な惑星、衛星、小惑星、彗星がありますが、広大な宇宙を大洋にたとえれば、そんな太陽系ですらせいぜい1滴の水にしかなりません。まるで狭い裏庭から外の大通りや町や国や世界を眺めているのと同じです。
(中略)本書では、太陽系を簡単に見回した後、みなさんをもっと遠くへ、恒星と星雲、パルサーと星団、超新星爆発とブラックホール、銀河と銀河団の領域へといざない、宇宙の果てへ、そして時間の始まりにまで導きます。ヴィル・ティリオンによる恒星地図は、夜空をめぐるあなたの旅を手引きしてくれることでしょう。
いまこの時のこの場所から出発してはるか昔の遠い場所へと向かう中で、私たちはベテルギウス、オリオン大星雲、プレアデス星団、アンドロメダ銀河など宇宙の有名な天体に数多く出会います。けれどもこれはただの「宇宙版フェイスブック」ではありません。現代の天文学者は、それらすべての天体が相互に関係しあっていることを知っています。あらゆるものが一緒になって、宇宙の進化物語を─ビッグバンの中で生じた最初の「密度揺らぎ」から銀河の形成、恒星の誕生、生命が存在可能な条件を備えた惑星を経て生命そのものに至るまでの、壮大で魅力的な物語を─語っているのです。
青色はぐれ星やマグネター(帯磁星)やクエーサーといった奇妙な天体の発見に加え、ダークマターとダークエネルギーのような謎の宇宙構成物質の仮説も登場し、宇宙の年表はどんどん複雑になってきています。
◎目次
はじめに
太陽系
天文学の歴史
星の誕生
望遠鏡
恒星と惑星
星の死
天の川銀河
宇宙望遠鏡
局部銀河群
銀河
宇宙へ向けて開かれる窓
銀河団
宇宙
星図
写真・図版クレジット
索引