通常1-5営業日で発送：ここ10年来で提唱されては消え、提唱されては消えてきた経営のアイデア、人材育成のアイデア、ビジネスモデルのアイデアを思い起こして見てください。経営のフラット化や戦略的情報システム、組織学習などいろいろあることでしょう。BPRでさえ、本当の意味で実施できている企業は数少ないのではないでしょうか。人材育成では「OJTが機能しなくなった」とか「マネジャーが意思決定できなくなった」ということもよく聞かれます。いわば、企業社会では「概念が消費」されて、定着しないことが多いと言わねばなりません。そして定着する前に、微妙に違った、しかし似通った概念が出てくるので、ますます概念消費のスピードが増していきます。これらのことは、時代環境の変化の加速化・複雑化によってもたらされているものと言えるでしょう。それだけではなく、現実的に今日中に達成しなければならない仕事が矢継ぎ早に発生してくる状況です。こうした状況によって、本質的に変わらないものとして涵養していかなければならないことがわかっていても、結果として忘れられていくようになってしまうのではないでしょうか。
「基礎力」にはいろいろあると思いますが、本書がターゲットとしたのは、現場のリーダークラスの行う「マネジメントの基本」であり、「他者と協働しながら取り組む仕事の仕方の基本」です。それは、適正で魅力的な目標を設定し、その目標に沿って業務を遂行し、成果を上げる。そして、その遂行プロセスでは他の組織の成員と協働していく、ということです。これは、現在の企業社会が、根本的に変わらないかぎり半永久的な「仕事の仕方」でしょう。「なんだ、そんなあたり前のこと」といわれる方もいるでしょう。しかし、「本当にそれができていますか?」「わかっていることと、できていることは別です。それをできていますか?」と問われたらいかがでしょう? スポーツの世界でも、ビジネスの世界でも、やはり基本に忠実で、基本ができていてこそパフォーマンスが上がっていくわけです。
著者である私たちが、奇をてらい、大向こう受けをねらう「マネジメントの基本」本を作成するのではなく、現場のリーダーにとって、少し骨太で、良い意味で網羅的で、基本に忠実なマネジメントの「手ほどき書」を書こうと思い立ったのは、以上のような問題意識からです。おそらく、この本を手にとられた皆さんは、現場のリーダーあるいはこれからそうなる方々であると思われます。皆さん自身がマネジメントの基本について再確認あるいは新たな知識を獲得し、変革の基礎力を涵養し、より豊かなチームや組織を形成していく一助になることができれば幸いです。 (「はじめに」より一部抜粋)