★〈拾遺新著〉安政歌字尽
【判型】半紙本1冊。縦212粍。
【作者】紐野吉治（楳一堂・雪蛍）作・序。
【年代等】安政5年3月序・刊。［因幡］紐野吉治蔵板。
【備考】分類「往来物」。最終丁落丁のため、別本コピーにより補った。『〈拾遺新著〉安政歌字尽』は、寛文2年初刊『小野篁歌字尽』にない漢字を用いて作った新編の歌字尽。『小野篁歌字尽』と同様に字形の似通った漢字5字を1行（例外的に1行2～4字の箇所もある）集めてこれを1単位とし、各単位毎に暗誦用の狂歌を付けた往来物。例えば第9行では、「吉（きち）・吝（あわれむ）・召（めす）・呑（のむ）・唇（くちびる）」と漢字を列挙した後で、「しはきちよ、ぶんはあはれむ、かたなめす、てんはのむなり、たつはくちひる」の狂歌を細字で添える。このようにして全130行637字を連ねるが俗字も相当数含まれる。また、冒頭16句の頭字を続けると「因幡御城下住、紐野吉治、歌字尽作如此」の一文となり、作者の遊び心が見えて興味深い。また、巻頭「古代見之辨」に、小野篁が破軍星の化身との俗説を紹介する。本文を大字・5行・付訓で記す。