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D & F ( 八木大輔 & 秋川風雅) / ザ・ヴィルトゥオーゾ
1. ショパン:練習曲 嬰ト短調 作品25-6
2. リスト:ドン・ジョヴァンニの回想 S.418
3. サン=サーンス/リスト:死の舞踏 S.555
4. ショパン:練習曲 嬰ハ短調 作品10-4
5. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23 番ヘ短調作品57「熱情」
6. ラフマニノフ:イタリアン・ポルカ 変ホ長調(連弾)
八木大輔(ピアノ)1、2、3、6
秋川風雅(ピアノ)4、5、6
レーベル:アールアンフィニ
企画制作:ソニー・ミュージックダイレクト
発売:ミューズエンターテインメント
録音:2021年4月20日、7月13日 & 14日、8月17日
慶應義塾高等学校在学中のピアニスト(2022年1月現在)、八木大輔と秋川風雅のジョイント企画CDです。数々の国際コンクールを怒涛の勢いで制覇しつつある二人の若き才能の「今」を刻印したデビュー・アルバムは、ショパン・エチュード、ベートーヴェン・ソナタ、リストと王道のレパートリーでその真価を世に問います。二人の連弾によるラフマニノフのイタリアン・ポルカ他聴きどころ満載のアルバムをお楽しみ下さい。
音楽家とは、総合的な人間活動の中の、一つの表れである。
必ずしも専門化されたある種の特殊な職業だけを指して言うのではない。
音楽史を振り返ってみても、科学者・医者・弁護士・政治家・外交官・作家といった人々が、同時に優れた音楽家でもあったケースは数多い。音楽家として生きることが、他の職業から切り離され、プロとアマとの間に大きな溝が作られていったのは、近代以降の現象に過ぎない。
最近は総合大学や理系の大学で「リベラルアーツ」というスローガンが掲げられるようになってきた。リベラルアーツという言葉はギリシャ・ローマ時代の「自由7科」(文法、修辞、弁証、算術、幾何、天文、音楽)に起源を持っているが、自由人として生きるための普遍的学問のひとつとして、いま音楽は再び見直されつつある。
そもそも、音楽家は必ずしも音楽大学を出た人だけがなるものとは限らない。
このたび慶應義塾高等学校に在学中の八木大輔さん(3年)、秋川風雅さん(2年)がピアニストとしてデビューされたが、このことはとても象徴的な出来事に思える。
細やかな技巧派タイプの八木さんは、この春から同大学の文学部美学美術史専攻に進学する予定で、英語以外の多国語を習得することに意欲を見せている。オペラにも大変詳しい。筆者は彼のメシアンの演奏を聴いたことがあるが、そのときの印象が強かったので、今後は現代的なレパートリーも加えていって欲しい。
覇気とエネルギーにあふれるタイプの秋川さんは、同大学の法学部への進学を希望している。両親が音楽家で、3歳から毎年ソロ・リサイタルを開催し、6歳にしてオーケストラと協奏曲を共演しているという彼に、法律を学びたい理由は何かと聞くと、「興味のあることを学びたいから」という頼もしい答えが返ってきた。
音楽とはこの世のすべてを反映するものである。幼少時からピアノに秀でた才能を示しながらも、広く学び続けようとする二人のポテンシャルをぜひ聴きとってみたい。
2022年1月 林田直樹
“Little Leo"と〈見者(けんじゃ)〉の眼 ―「風の時代」のピアニストたち― 山田 良
八木大輔、秋川風雅、それぞれが奏でるピアノに初めて直接触れたのは、2022年1月、新年の清新な空気が残る、東京・青山のスタインウェイ・ショールームだった。両名、演奏・佇まい共に、互いに異なる個性の持ち主。が、来きたる時代の演奏家の姿を予感させる、というところでは見事に一致するものがある。
人生の始まりから良くも悪くも「ピアノ一色」というのが、従来の「ピアニスト」の一つの典型イメージだったとすれば、それとは真逆の生き方を、既に彼らは体現している。彼らにとって、ピアノはあくまで自分の世界を形成する一要素であり、それは彼らが日々体験する、ピアノ以外の多くのこと――音楽以外の分野での学びや、人としての喜怒哀楽、人生の様々な諸相――と響き合う中で磨かれ、芸術表現としての精彩を増していくものなのだろう。
もっとも、そうしたスタイルは、これまでの演奏家の多くが辿った道とは全く別のルートを行くがゆえに、その前途は決して平坦ではないだろう。彼らは道なき道を自ら開拓せねばならぬパイオニアであり、その道程は、それぞれが「背負うもの」を、己を輝かせる糧にまで昇華させる魂の旅路ともなるだろう。そして、2022年1月5日に青山で聴いた二人のピアノは、それぞれの旅路の色合いを既に予感させるものでもあった。
秋川風雅。勢いのある、若々しい魅力を湛えたショパンのエチュードの後に、「熱情」ソナタ第1楽章。最も印象的だったのは、彼の「心の現い在ま」を、想いひとつ、それだけでピアノに響かせているような、潔いまでの直情的な演奏だ。音楽家を輩出してきた家系の生まれと聞いて、はからずも great heritage は great pressure にもなり得る、ということを思う。波打つゆたかな髪を揺らしながら、白皙はくせきの頬を紅潮させて鍵盤に向かう彼の横顔に、ふと“Little Leo"(小さき獅子)という言葉がほの見えた。幼き獅子の成長物語、といえば、手塚治虫の『ジャングル大帝』や、ディズニー・ミュージカルの『ライオン・キング』が想起されるが、レオもシンバも、自らの力で「父」を、「祖先」を超えて初めて真正の「王」となる。秋川風雅の「心ひとつ、想いひとつ」を忌憚なく響かせる、直なおいその姿勢に精神のさらなる強靭さと人生経験の裏打ちが加わった時、彼のピアノは力強い若獅子のそれに変わるのではないか、という予感がする。そして、その先にあるはずの、獅子王の風格を備えた完成形を、聴衆の一人として、いつか聴き届けたい、と思う。
八木大輔。長身を揺らしつつ、すたすたとステージへ。飄々とした佇まいで客席を一瞥、ひょいと身を折り曲げるようにして、するり、とピアノの前に座る。この一連の所作を見ながら、突飛に聞こえるかもしれないが、才ある噺家はなしかのそれと同じオーラを感じた(実際、この時彼が弾いた「ドン・ジョヴァンニの回想」には、落語の大ネタの好演と同質の、一つの舞台世界としての「統一感」と「存在感の厚み」があった)。これから単身で舞台に「世界」を創り上げることができる人間特有の、「気迫」のようなものである。「それ」が生じるには、技術と感性と知性だけでは足らず、一種の「狂気」が必要だ。それは此岸にありながら彼岸を見通す視線、詩人ランボーが謳うたった「見者(けんじゃ)-le voyant(ル・ヴォワイヤント)」の眼、真のアーティストだけが持つ、善悪を超えて世界の本質を視みる眼差まなざし、透徹の千里眼に湛えられるエネルギーでもある。八木大輔の演奏姿を見た時に、最も印象的だったのは、ピアノの内部を掬うようにして、楽器の向こう側までも見通すかのような、不思議な視線の高さであった。会心の演奏の際にはほとんど動かない、と本人談の、独特のその眼差しには、時に見えない音に追い縋るかのような狂おしさ、時に音の行方を愛おしむかのような優しさ、そして時に音をその視線で自在にコントロールしようとするかのような不敵さをも含んで、「ああ、このピアニストには本物の〈狂気〉の気配がたしかにある」と感じさせるものがあった。この先、この「視線」が己の内外をどこまで見通し見据えることができるか、それは現時点では未知数である。しかし、演奏後のインタビューでの彼の語り口を、その演奏の記憶と共に思い出す時、彼ならきっと、己おのが「見者」の眼が捉えた光景を、自身の音楽に十分還元、反映させ得るであろうと感じる。
西洋占星術によれば、今は、「土の時代」から「風の時代」へと移り変わる時期なのだそうだ。過去200年にわたる土の時代が金銭や物質、権威といった現世のソリッドな要素を重視したのに対し、来る風の時代では知性やコミュニケーション、個人といった、自由と個性を象徴する要素が台頭するらしい。その意味では、“D&F"はまさに風の時代の申し子ともいえるかもしれない。奇しくも、現代ピアノの原型である「フォルテピアノ」が生まれたのが19世紀に入ろうとする頃、土の時代の始まりの時。風の時代のピアニストたちが、土の時代に生まれた西欧音楽最大の楽器を、いかに軽やかにバージョンアップさせていくのか。同時代に生き合わせた者としての幸運を喜びつつ、見届けていきたいと思う。 (2022年1月)
メディア掲載レビューほか
慶應義塾高等学校在学中のピアニスト(2022年1月現在)、八木大輔と秋川風雅のジョイント企画CD。数々の国際コンクールを怒涛の勢いで制覇しつつある二人の若き才能の“今”を刻印したデビュー・アルバムは、ショパン・エチュード、ベートーヴェン・ソナタ、リストと王道のレパートリーでその真価を世に問います。二人の連弾によるラフマニノフのイタリアン・ポルカ他聴きどころ満載のアルバムをお楽しみ下さい。 (C)RS
アーティストについて
八木 大輔(ピアノ) Daisuke Yagi、 Piano
慶應義塾高等学校 3年在学中
2003年神奈川県生まれ。
4歳より藤井麻衣子、6歳より石井理恵の両氏に手ほどきを受け、現在黒田亜樹、藤井一興の各氏に師事。またタチアナ・ゼリクマン、ドミトリー・バシキーロフ、ヴィンツェンツォ・バルツァーニの各氏にも指導を受ける。
2017年5月、第7回ピアノタレント国際コンクールにて大
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| Product # |
B09R1PKYL3 |
| Weight |
100 g |
| Product package size |
14 x 12 x 1 cm |
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