宗派・時代を問わず多くの人々を魅了してきた大乗仏教の綱要書『大乗起信論』を、法相唯識の教理との対照から、その特徴を浮き彫りにし、空・唯識・如来蔵というインド仏教の伝統思想を凝縮させた珠玉の名作を分かりやすく説き明かす。
「『起信論』の教理等をより深く理解する手段として、それをしばしば法相唯識の教理に対照させてみた。法相唯識の教理体系は、大乗仏教の一つの標準をなすものであり、それと比較して『起信論』はどのあたりがどのように異なっているかを明らかにすることは、『起信論』の意図を正しく受け止めるためにも有効な道であると考える。......この両者の比較対照が他にはあまりない本書の特徴になっており、かつ『起信論』の教理の了解を促進させることと思う。」（本書より）
【目次】
第一章　『大乗起信論』について
第二章　三宝への帰依——序分
第三章　書かれた理由と主旨——正宗分（一）
第四章　正しい教えを明かす（一）——正宗分（二）
第五章　正しい教えを明かす（二）——正宗分（三）
第六章　誤りを正し、覚りの道を進む——正宗分（四）
第七章　信心のあり方と修行の功徳——正宗分（五）・流通分
あとがき